第六回

「チートは何故やっちゃいけないのか」
(2003年3月16日 内容を全面的に書き直し)

『チート』とは英語に訳すと『Cheet』、『ズル(狡)、イカサマ』という意味でネットゲームでは使われる言葉です。

 ネットワークゲームには、プレイヤー毎にそれぞれの、ゲームに使える時間、技量、知識に応じた様々な遊び方があります。

 その中で、プログラムの不備や抜け穴・個人が作ったデータ改造ツールを用いて、ゲーム開発者が意図しなかった方法で普通のやり方よりも遙かに楽に、ゲーム世界で利益を得られる事が可能な場合があります。
 そういった行為全般を『チート』と呼び、それを行う人を『チーター』と呼びます。
 これらは、そう、通常の一人用ゲームで言うところの『改造コード』であったり『裏技』と呼ばれるものです。

 一人用ゲームでは、特に何も言われないこれらのチート行為が、オンラインゲームでは度々問題になるのです。
 なぜ、問題なのでしょうか。それは、一つの世界を多数の人が共有している事に理由があります。

 ネットワークゲームでは、自分の行った行為は、必ず誰かが影響を受けます。
 例えば、町の鍛冶屋で剣を一本買ったとします。
 ところが、そこに並んでた剣が最後の一本だったとしたら。
 他の人がその鍛冶屋で同じ物を買おうとしても買う事が出来ません。貴方が剣を買った為に、在庫が無くなったからです。
 敵を倒すのも同じです。貴方が町の外で敵を1匹倒せば、他の人はその場所で倒せる敵が1匹確実に減る事になります。
 この事からも解るように、その行動自体には大きな影響はなくても、沢山の人たちの積み重ねが世界の緩やかで大きな変化へと繋がっていくのがネットワークゲームの楽しさでもありますし、醍醐味でもあります。

 ところが、これらのチート行為は、その世界に急激で好ましくない変化をもたらします。
 突然、大量の所持金をプレイヤーが持ったり、無敵になったり、1時間足らずでレベルが最高レベルになったり。
 こういったズルは、その世界の経済やゲームバランスや、他のプレイヤーのやる気などに、ゲーム開発元であるオフィシャルにとっても、何一つとっても好ましくない大きな衝撃と変化をその世界にもたらすのです。
 しかも、そういった行為の大半は、きわめて個人的な
「他人よりも楽に優位に立ちたい」という身勝手な都合や、
「試しにどうなるか、本当にそうなるのかやってみたい」という興味本位だけで行われる事となります。
 「時間がないから、難しいから」
 こんな理由で行われるチート行為は、その世界の住人である他のプレイヤーにとって、迷惑以外の何者でもありません。ネットワークゲームの世界は個人の所有物ではないという事を解って戴ければと思います。

 そして、結果的にそのチート行為を行った本人自身も、そのゲームに対して魅力を見いだせなくなっていきます。RPGは特に、時間を掛けてコツコツと努力する事自体に価値があるのでは無いでしょうか。
 いきなり最高レベルで、いきなり数億の所持金を持ち、レアアイテムも持ち放題。ゲームを始める時に目的や目標とするものを始める前から簡単に手に入れてしまっていたら。

 その先は何をすれば良いのでしょうね。
 ネットワークゲームは、殆どの場合これと言った細やかなストーリー展開はありません。ストーリーは自分の行動の結果のみが紡ぎます。

 私なら、適当に遊んだ後は、そのゲームを放り出して他のゲームをやります。
 そして、努力する価値をかなりの部分で割り引かれた、色あせた魅力のないゲーム世界という評価は、自分だけの評価だけに留まらず、徐々に他のプレイヤーから見たその世界の評価へも波及させながら、誰も望まない変化を確実にもたらすのです。

 オフィシャルが情報を収集し、血なまこになって頻繁にプログラムアップデートを行って『チート』を撲滅し、『チーター』を積極的に排除(プレイ停止措置やア
カウント削除)するには、それなりのちゃんとした理由があるのです。