第8回

オンラインRPGにおける
ギルドの「存在意義」と「役割」


 オンラインRPGは、一人用のコンピューターRPGが実現不可能な
『プレイする人の数だけその人なりの考え(例えば、価値観や正義)
やプレイの仕方があるはずだ』
 というこの部分を当たり前の事だとして認識されているという事を
前回はお話ししました。

 更に言うならば、他の人の行動(流行・定番・セオリー・攻略情報等、
その他の非常に多岐に渡る色々なレベルの情報)を参考に、自分が今
何をすべきか、その行動判断や情報の取捨選択さえも個人の裁量に
委ねられている点でも本当の意味でRPGに近づく工夫が成されていると
言えるかも知れません。

 攻略情報は唯の参考資料に過ぎません。
 ノートや電卓を持ち込んで、それをみても良い、使っても良い、というテストが、
むしろただの丸暗記のテストよりも遙かに難しい事を、貴方は学校で経験して
いる筈です。

 でも、ちょっと考えてみてください。
 貴方がプレイすべき行動の選択肢は、オンラインRPGの場合、予め全て網羅し、
プログラムされているのでしょうか?
 答えは否。”ブッブー”です。
 自分の自由意志を貫き通してゲームをプレイするために、オンラインRPGの
プログラムは制限を設ける事はあっても、何一つとして貴方を支援してくれません。
 もちろん、大まかな括りとしての方向性を示す選択肢はプログラムでプレイヤー
の前に指し示されています。
 ですが、
『RPGである以上、それが何であれ、プレイする人の数だけその人なりの考え
(例えば、価値観や正義)やプレイの仕方があるはず』
 これの実現を希望する1000人、2000人単位の参加者全員をそれぞれに
満足できるレベルで応えられるプログラムを作ることは絶対に不可能です。
 服や装備のバリエーションを増やしただけで、一体自分の価値観や好みのどれ
だけの部分が表現できるのでしょう。

 人殺し(PK)=悪。泥棒=悪。確かにその通りです。
 では逆にこう考えてはどうでしょうか。悪人はPKや泥棒だけしか出来ないのでしょうか。
 正義の味方はPKKでしか、その自分の正義を示す事が出来ないのでしょうか。
 そんなゲーム開発者が予め用意した単純な道筋や理屈とルールで、一体どれだけの
プレイヤーが満足できるのか。

 オンラインRPG初体験のプレイヤーさん達のとまどいは、ひょっとしたらこの辺りに
あるのかも知れません。
 攻略本通りにプレイしても見えてくるのは所詮、流行の中に身を置く『その他
大勢の中にいる自分』ではないでしょうか?
 しかも、オンラインRPGでは、それは理不尽なことではなくて、至極当たり前
のことだと思われてる点でも。

 では、オンラインRPGをプレイするに当たって、
ゲームに対する自分なりの考えをどうやって見つければ、他の人に表現して
いけばいいのでしょうか?

 ゲーム開発者が用意できない以上、自分で出来ることをしなければならない事に
気が付くはずです。
 自分と他の人の違いを理解してくれるいわば、自分の理解者を捜すことだと気が
付くはずです。
 その為には、時には自分の言動に責任を持ち、他人に譲れない「こだわり」を
いくつか持ち、それを脅かすものを遠ざける、もしくは無視する、あるいは断固とし
て戦う、時には恥も外聞もなく逃げる・妥協する、しかし最後には必ず乗り越える。
 そういった行動が必要になるかもしれません。

 自分が自分のやりたい事(しかし一人では出来ない事、一人でやってもつまらない事)
をするために、自分を認めてくれる人を、自分の意志を尊重してくれる仲間を探し、
互いに団結する。
 実はこれがギルド成立の核であり、ギルドの存在意義だと私は思っています。

 そして、ギルドはメンバーとしての活動を通じてメンバーの自由意思を尊重し、
各個人の名誉を守ります。
 これが、ギルドの役割と言えます。

 うーん、ちょっと説明が堅苦しいかな?(^^;

 例えば、貴方が
「スカーレッドニードルズ(以下「スカニー」:ギルドやLSに所属している方は、
自分のギルドやLSで当てはめてください)という集団に居たとします。

 スカニーは非常に特殊なギルドです(例えですから、とりあえずそういうことに
しましょうよ(笑))。
 ギルドを特殊にしているのは、ほかならぬ「何らかのスペシャリストを目指そう」
とする貴方と、貴方を認めてくれながら同時に「自分たちも何らかのスペシャリスト
を目指そうとしている」貴方の理解者(ギルドメンバー)であるといえます。

 スペシャリストを目指す貴方は、共に、もしくは既にその分野で先行している
ギルドの仲間からの協力や応援を当てにすることが出来ます。

 また、貴方は「スカニーに所属している」と、それを他の人に公表するだけで、
もしくはHPのアドレスを後で教えれば、いちいち長ったらしい説明をせずとも、
スカニーを知っている人たちに「スペシャリストを目指してる人なんだな」と理解
して貰うことが出来ます。

 更に「スカニー」の場合は、ひとたび自分の周囲でトラブルが起こった時は、
ギルドマスターや他のギルドメンバーが適宜介入して自分の、ひいてはギルド
全体の名誉を保護します(注:今のFFギルドの大半はいわゆる仲良しギルドです
から、この名誉を保護するという点では、期待しない方が良いかも知れません)。

 ただし、貴方がギルドの名誉を傷つける行為をすれば、メンバーからの非難を
あびる事は避けられないでしょう(これは名誉の保護の裏返しです。
 保護されないなら、何をやろうとも特別非難もあびないでしょう)。

 自分がやりたいことを仲間と共に実現するためにギルドはあります。
 自分がやりたいことを見つける為にギルドが存在する訳ではなく、仲間が積極的
に見つけてくれるわけでも無いでしょう。
 逆に、やりたいことを見つけるだけなら、ギルドは貴方の期待をむしろ裏切る事
だってあるかも知れません。